iPhone とツイッターで会社は儲かる

「iPhone とツイッターで会社は儲かる」(山本敏行 著、マイコミ新書)を読了。安っぽいビジネス啓発本にありそうな書名とは裏腹に、企業内でツイッターを最大限に活用するための実践的なノウハウと分析をきちんと書いている。筆者が自ら経営する EC studio で全社員に iPhone を支給してツイッターの利用を推進してきた経験に基づいているので、内容にとても説得力がある。

タイトルにツイッターを掲げているにも関わらず、実は本書の後半 1/3 が Google Apps とクラウドについて割かれている。そしてこの部分の内容も EC studio での実践に基づいたものだ。結局のところ、書名にある iPhone やツイッターは組織業務をクラウド化するための入口に過ぎず、これらのツールやサービスを使いこなしてビジネス環境を変革することが重要であり成功への近道である、というのが筆者のメッセージだと思う。

本書が推奨する IT の活用方法はきわめて正論だろう。その一方で多くの企業や団体組織などでは、様々な理由によってこのような考えが受け付けられない場合のほうが、まだまだ多いに違いない。もちろん人様のところの IT 導入を他人がどうこう言う筋合いではないのだが、それでもやっぱりもったいない。本書に描かれているような IT 環境が普通のことになる日がくるといいなと思う。

先にも書いたように本書には EC studio 社内で実際に行われてきた IT 化の実践が幾つか紹介されているのだが、そのなかで SONY の PlayStation を TV 会議に利用していることに興味を覚えた。最近では Skype や Google Talk でビデオチャットが可能になっているが、それよりもかなり専用システムに近い TV 会議環境を低コストで構築できるようだ。映像関係の実践でもうひとつ、商談の打ち合わせを録画して Google Apps で共有する例には驚いた。商談を録画するという発想自体がとても新鮮だったが、情報共有という面では強力なツールになりそうだ。もちろん難しい問題が出てくることは予想されるものの、とにかく始めてみることが重要だと思う。

本書の最後には iPhone、ツイッター、Google Apps を EC studio 社内で一斉に導入したときの感想を聞いたアンケートの回答が全社員分掲載されている。導入当時の不安や期待感が手に取るように分かりとても面白い。組織内のクラウド化を検証するためのフィールドワーク資料としても貴重なものになると思う。

目次は以下のとおり。

第1章 ツイッターを会社で導入する目的とは
第2章 ツイッターを全社導入して起きたこと
第3章 ツイッターのメリット・デメリット
第4章 アイフォーンとツイッターが会社にもたらすもの
第5章 グーグル・アップスとアイフォーン
第6章 コミュニケーションのクラウド化で会社は儲かる
スペシャル・インタビュー グーグル 辻野晃一郎社長
イーシースタジオ社員の全社導入アンケート