Archive for 3月 2010

FREE <無料>からお金を生みだす新戦略

「FREE <無料>からお金を生みだす新戦略」(クリス・アンダーソン 著、高橋則明 訳、小林弘人 監修・解説、6NHK 出版)を読了。最近では特に Web 系のサービスにおいて無償を基盤とする戦略が顕著だが、これらのビジネスモデルに関する歴史的な背景や構造を体系的にとても良く理解できる。本書の翻訳版を NHK 出版が手掛けている点も興味深い。Twitter と同じように週刊ダイヤモンドが3月13日号で「FREE の正体 0円ビジネス全解剖」という大特集を組んでおり、本書の副読本の様相を示している。本書と週刊ダイアモンドのいずれも書店では山積み状態になっており、かなり売れているようだ。

以下、本書の目次。

プロローグ
第1章 フリーの誕生
無料とは何か
第2章 「フリー」入門 — 非常に誤解されている言葉の早わかり講座
第3章 フリーの歴史 — ゼロ、ランチ、資本主義の敵
第4章 フリーの心理学 — 気分はいいけど、よすぎないか?
デジタル世界のフリー
第5章 安すぎて気にならない — ウェブの教訓 = 毎年価格が半分になるものは、かならず無料になる
第6章 「情報はフリーになりたがる」 — デジタル時代を定義づけた言葉の歴史
第7章 フリーと競争する — その方法を学ぶのにマイクロソフトは数十年かかったのに、ヤフーは数カ月ですんだ
第8章 非収益化 — グーグルと二一世紀型経済モデルの誕生
第9章 新しいメディアのビジネスモデル — 無料メディア自体は新しくない。そのモデルがオンライン上のあらゆるものへと拡大しているのが新しいのだ
第10章 無料経済はどのくらいの規模なのか? — 小さいものではない
無料経済とフリーの世界
第11章 ゼロの経済学 — 一世紀前に一蹴された理論がデジタル経済の法則になったわけ
第12章 非貨幣経済 — 金銭が支配しない場所では、何が支配するのか
第13章 (ときには)ムダもいい — 潤沢さの持つ可能性をとことんまで追究するためには、コントロールしないことだ
第14章 フリー・ワールド — 中国とブラジルは、フリーの最先端を進んでいる。そこから何が学べるだろうか?
第15章 潤沢さを想像する — SFや宗教から、<ポスト稀少>社会を考える
第16章 「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」 — その他、フリーに対する疑念あれこれ
結び — 経済危機とフリー
巻末付録1 無料のルール — 潤沢さに根ざした思考法の10原則
巻末付録2 フリーミアムの戦術
巻末付録3 フリーを利用した50のビジネスモデル
謝辞
日本語版解説(小林弘人)

Google App Engine 超入門

知人の会社で実施している社内向けのミニセミナーに講師として呼ばれた。どんな話題でもよい、ということだったので、Google App Engine の概略を解説することにした。1時間という貴重な時間を割いて集まっていただいた皆さんに満足してもらえる内容だったかどうか不安が残る。とりあえずその時に使った資料を次の URL で公開しておく。

http://bit.ly/9b2bwx

終盤の Google Apps との連携部分についてはうまく説明出来なかったので、十分に理解してもらえなかったかもしれない。

iPhone とツイッターで会社は儲かる

「iPhone とツイッターで会社は儲かる」(山本敏行 著、マイコミ新書)を読了。安っぽいビジネス啓発本にありそうな書名とは裏腹に、企業内でツイッターを最大限に活用するための実践的なノウハウと分析をきちんと書いている。筆者が自ら経営する EC studio で全社員に iPhone を支給してツイッターの利用を推進してきた経験に基づいているので、内容にとても説得力がある。

タイトルにツイッターを掲げているにも関わらず、実は本書の後半 1/3 が Google Apps とクラウドについて割かれている。そしてこの部分の内容も EC studio での実践に基づいたものだ。結局のところ、書名にある iPhone やツイッターは組織業務をクラウド化するための入口に過ぎず、これらのツールやサービスを使いこなしてビジネス環境を変革することが重要であり成功への近道である、というのが筆者のメッセージだと思う。

本書が推奨する IT の活用方法はきわめて正論だろう。その一方で多くの企業や団体組織などでは、様々な理由によってこのような考えが受け付けられない場合のほうが、まだまだ多いに違いない。もちろん人様のところの IT 導入を他人がどうこう言う筋合いではないのだが、それでもやっぱりもったいない。本書に描かれているような IT 環境が普通のことになる日がくるといいなと思う。

先にも書いたように本書には EC studio 社内で実際に行われてきた IT 化の実践が幾つか紹介されているのだが、そのなかで SONY の PlayStation を TV 会議に利用していることに興味を覚えた。最近では Skype や Google Talk でビデオチャットが可能になっているが、それよりもかなり専用システムに近い TV 会議環境を低コストで構築できるようだ。映像関係の実践でもうひとつ、商談の打ち合わせを録画して Google Apps で共有する例には驚いた。商談を録画するという発想自体がとても新鮮だったが、情報共有という面では強力なツールになりそうだ。もちろん難しい問題が出てくることは予想されるものの、とにかく始めてみることが重要だと思う。

本書の最後には iPhone、ツイッター、Google Apps を EC studio 社内で一斉に導入したときの感想を聞いたアンケートの回答が全社員分掲載されている。導入当時の不安や期待感が手に取るように分かりとても面白い。組織内のクラウド化を検証するためのフィールドワーク資料としても貴重なものになると思う。

目次は以下のとおり。

第1章 ツイッターを会社で導入する目的とは
第2章 ツイッターを全社導入して起きたこと
第3章 ツイッターのメリット・デメリット
第4章 アイフォーンとツイッターが会社にもたらすもの
第5章 グーグル・アップスとアイフォーン
第6章 コミュニケーションのクラウド化で会社は儲かる
スペシャル・インタビュー グーグル 辻野晃一郎社長
イーシースタジオ社員の全社導入アンケート