Archive for 4月 2009

クラウドコンピューティングの幻想

「クラウドコンピューティングの幻想」(エリック・松永 著、技術評論社)を読了。このところ「クラウド」人気が高いようで、題名にクラウドの文字が入った書籍や雑誌の記事が大量に出回っている。そんな状況の中で、クラウドを採用しなければ IT 化の流れに乗り遅れるといった強迫観念に囚われたり、クラウドによってシステムの合理化やコストダウンを実現できると闇雲に信じるのはまったく無意味であることを著者は説いている。だからといってクラウドそのものを否定しているわけではない。むしろ今後の IT 技術において重要なファクターになると考えている。しかし、著者の目線はあくまでも企業ユーザの立場であり、ユーザの長期的な経営戦略にとって有効な道具としてのクラウドを見極めることの重要性を訴える。そして、このような視点からコンピュータシステムについての助言を行うコンサルタントやインテグレータを、パートナーとして選ぶことが重要であると本書は説く。その主張は真っ当なものであり、流行などに左右されることのない普遍的なことだと思う。現場の技術者は激しく変化する状況に対応するため、どうしても技術そのものに囚われてしまいがちだが、常に本書が主張している視点を持ち続けていくことが大切だと思う。

以下、本書の目次を抜粋しておく。この目次だけ見ると、そこいらのクラウド本と代わり映えしない印象を受ける。しかし、実際の目次はもっと詳細になっていて、そちらを見ないと本書の雰囲気は伝わらないかもしれない。完全な目次は Amazon のここにある。

はじめに
第1章 クラウドコンピューティングの迷走
第2章 企業向けクラウドコンピューティングは何も始まっていない
第3章 クラウドコンピューティングを支える技術と意味
第4章 クラウドコンピューティングの未来を占う注目企業の戦略
第5章 クラウドコンピューティングをリードする注目企業の戦略
第6章 クラウドコンピューティング時代に遭遇する既存大手システムインテグレータの危機
第7章 クラウドコンピューティングの幻想からの脱却
おわりに

Amazon Elastic MapReduce というサービス

Amazon が Elastic MapReduce というサービスをリリースした。これは Google の中核を形成する大規模分散並列計算システムを模したもので、オープンソースの Hadoop によりサービスが提供されている。Hadoop は Apache Hadoop プロジェクトにより公開されているオープンソースソフトウェアで、Google が発表した MapReduce に関する技術論文に基づいて実装されたものだ。この MapReduce が EC2 や S3 と同様の価格体系で利用することができる。かなり画期的なことなので、開発関係者などの間ではしばらく話題になると思う。このようなサービスが普及するほど、既存のデータセンターあたりは厳しい状況になるだろうと素人は考えるのだが、そういった筋からの噂によると、それほど危機感を持っていないらしい。セキュリティだとか会社の信用といった面で、まだ自分たちのほうが優位にいると考えているらしい。本当にそうなのだろうか。

yum で苦労したこと

サーバとして CentOS5.2 を使っているのだが、このところアップデート通知がまったく無かったことに気付く。試しに手動で yum check-update を実行しても、有効なアップデートは無いという。さすがにおかしいと思い検索してみたら、yum のキャッシュに異常が発生したときなどに、このような状態になるらしいことがわかった。そして、この症状に対しては yum clean all で状況を改善できる、ということだったのでさっそく実行してみる。ここで再び check-update すると、要アップデート状態のパッケージが大量にあることが分かった。

続けて yum update(実際には GUI のパッケージマネージャ)を使って、これまでの更新分を一気に処理したのだが、途中で処理がフリーズしてしまい強制終了することになってしまった。ここでパッケージのリストを確認してみると、同一パッケージのバージョン違いが同時にインストールされていることが分かった。例えば Zip であれば 2.31-1.2.2 と 2.31-2.e15 が共存している。さすがにこのままではまずいので調べてみると、yum の実行中に異常終了した場合には、その後の処理をきちんと完結させるため yum-complete-transaction コマンドを利用することが分かった。さっそくこのコマンドを使ってみると、見事にパッケージの重複が解消された。この yum-complete-transaction について書かれていたサイトに感謝。

その後、気がついたら CentOS が 5.3 になっていた。近々 5.3 になることをどこかで目にした記憶はあるが、どうも今週に入ってすぐにリリースされたらしい。意図せずに 5.3 へ移行してしまったが、このようなタイミングで大量のパッケージを同時にアップデートしたことが、今回の一連の不具合発生につながったのかもしれない。